沿岸漁業
SOKOBIKIAMI
底びき網
庄内の海の幸マダラをはじめ海底近くの魚を獲る漁
底びき網漁は、海に投げ入れた網を船で曳き回して、海底近くに生息する魚を水揚げする漁法です。対象の魚種は、マダラやカレイ、紅エビ、アンコウ、ハタハタなど。荒手網、袖網、身網、魚捕り部で構成される袋状の網を使い、操業は水深100〜500mの漁場で行います。15トン未満の漁船で操業する「小型底びき網漁業」、15トン以上の漁船を用いる「沖合底びき網漁業」といった種類があります。
沿岸漁業
GOCHIAMI
ごち網
袋状の網で魚群をすくい上げる伝統漁法
5トン未満の漁船を用いて沿岸で操業しています。魚の習性や潮の流れ、水温、その日の天候などを見て漁場に移動し、細長い曳綱を伸ばしながら船を円状に旋回しつつ袋状の網を投入。魚群を囲むように網を這わせて、曳綱を少しずつせばめて網の中に魚を追い込んで、魚が網にかかったタイミングで引き上げます。網を投入してから30分ほどで引き上げるため、鮮度の良い状態で魚を水揚げできるのが特徴です。漁の期間は5月中旬から11月まで。12月からは同じ漁船で底びき網漁を行います。
沿岸漁業
TEICHIAMI
定置網
魚の習性を利用して網を仕掛ける「待ちの漁」
定置網漁は、海中に箱型の網を仕掛けて泳いできた魚を誘導して獲る漁法です。魚は障害物を見つけると沖に泳ぐ習性があり、潮の流れに沿って泳いできた回遊魚の進路を「垣網」で遮り「身網」へ誘導して獲ります。魚の動きを読んで仕掛けを設置するため、「待ちの漁」とも言われており、様々な種類の魚が獲れるのも特徴です。仕掛けは大きいもので横200m、縦500mほどにもなり、水揚げ時や網の修理にも多くの乗組員の手が必要。そのためチームワークが大切になってきます。また、近海が漁場であるため、船の燃料などの面でも環境に優しい漁法といえます。
沿岸漁業
HAENAWA
はえ縄
魚を傷めずに水揚げが可能で、クロマグロなど大物を狙える漁法
一本の長い幹縄に、釣り針がついた枝縄を一定間隔に取り付けた漁具(はえ縄)を用いる漁法。餌を付けたはえ縄を漁場に仕掛けて、しばらく時間を置いてから引き上げていきます。春はマダイ、夏はクロマグロやノドグロなど、季節により狙う魚は様々です。中でも庄内浜で秋に獲れる「庄内おばこサワラ」は、関東圏でも高級魚として取り引きされているブランド魚。網を使った漁法に比べ、はえ縄漁は時間と手間がかかるものの、魚を傷つけることなく水揚げできるため、付加価値向上により、高く売ることが可能になります。
沿岸漁業・沖合漁業
IKATSURI
いか釣り
スルメイカを追いかけ日本海を南から北まで大移動することも
イカの餌を模したイカ針(疑似餌)を海中のイカの群れまで下ろし、自動イカ釣り機で一気に漁獲した後、船上で大きさを選別し素早く箱詰めにして鮮度を保ちます。 夜になると集魚灯に集まってくるイカを釣り上げるスタイルに。また、日本海ではスルメイカやケンサキイカ、北海道沖ではスルメイカやアカイカなど、季節により変わる群れの動きに合わせて移動しながら漁をします。小型船は日帰りで、急速凍結装置を備えている中型船は長期の航海になります。
沿岸漁業
ISOMIRYO
磯見漁
小さな船を操り、浅瀬にいる貝や海藻を獲る昔ながらの漁
1t未満の小船を操りながら、箱メガネで海中を覗いて浅瀬にいる貝や海藻を獲るのが磯見(採貝藻)漁業です。貝類はアワビやサザエ、イワガキ、海藻類はギバサ、モズク、アラメ、アオサなど、獲れる種類が豊富なことも特筆すべき点。先端に金具のついたヤスを片手に、船から身を乗り出しバランスを取りながら貝や海藻を獲っていきます。慣れるまで体力的に大変な面もありますが、他の漁法に比べて船のエンジンも小さいので初期投資が少なくランニングコストも多くかからないため、比較的始めやすい漁業です。
沿岸漁業
IPPONZURI
一本釣り
釣り糸に工夫を凝らした針と餌を付けて釣り上げる一本釣り漁
1本の釣り糸に釣り針をつけて魚を釣り上げる漁法です。対象魚によって釣り針の本数や形状も様々。ヒラメやヤリイカを釣る際には、1本の釣り糸に1本の釣り針を、メバルやタイ、ブリ、スルメイカなどには、3本から10本の釣り針を付けて行います。針の数が多いものは「多鉤(たこう)釣り」といわれることも。ブリとスルメイカは、集魚灯を使った夜間の漁です。網を用いた漁具では操業できない深い場所や潮流の速い所、岩礁地帯などでの操業に適し、技術の差が顕著に現れる漁法ともいえます。
沿岸漁業
SASHIAMI
刺し網
魚の通り道を遮るように網を張り、からませて獲る漁法
刺し網は網を魚の通り道に仕掛け、網に刺さる状態やからめるなどして獲る漁法です。カレイ類、ヒラメ、ガザミ(ワタリガニ)等を獲る漁法は、アンカー等で刺し網漁具を動かないように設置する「固定式刺し網漁業」です。また、キス、アマダイについては「こぎざし網漁業」と呼ばれる漁法で、刺し網の一端を海底に接するように設置し、網を曳き回して魚を獲ります。使用する網目より小さな魚は素通りでき、大きな魚のみが漁獲されるため、魚のサイズや水深に応じて、網目の大きさを変えて設置します。
YOUGYOKANRIIN
内水面養魚管理員
未来に水産資源を残すため健全な淡水魚を飼育し放流
最上川流域に生息する淡水魚の管理育成をしている小国川漁業協同組合(舟形町)では、次世代へより多くの水産資源を残そうとサケやアユの増殖に取り組んでいます。秋になると最上小国川を遡上してきたサケから採卵し受精。その受精卵を孵化させ、翌年の春に稚魚を放流するまで管理育成を担うのが養魚管理員です。飼育池の掃除をして稚魚が棲みやすい環境を整えるほか、水温管理や成育状況に合わせた給餌を行います。春~夏にはアユの飼育もあり、1年を通して魚の成長に携わることができる仕事です。
YOUSHOKU
内水面養殖
豊かな自然を生かして、人の手で大切にはぐくまれる水産資源
内水面養殖業とは、淡水に生息する魚介類を養殖する事業のこと。県内では、コイやマス類、アユなど様々な魚が養殖されている中、山形市蔵王温泉にある釣り堀ではニジマスの養殖が行われています。3〜4年かけて親に育てたニジマスをオスとメスに分け、採卵可能なメスを判別し採卵。孵化水槽に移された卵は、受精からおよそ50日後に新たな命が誕生します。ここでは、毎年約40万匹が養殖され、釣り堀用の魚やお刺身、焼き魚として調理してお客様に提供されるほか、繁殖用の親として次の命をつなぎます。